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社会人としての第一歩

 そんな私を見て、母は彼女の化粧品の仕事に私の関心を向けさせようとしましたが、私は、何でも自分でやってみたい年ごろでもありましたから、繁華街の大きなデパートヘ行き、売子として使ってくれるように頼みこんでしまいました。その仕事につくにあたって私はちょっぴり嘘をつかなければなりませんでした。なぜって、私はまだ17歳だったのに、28歳以上でなければ採用してくれなかったからです。私は月曜から金曜まで、毎日四時間ずつ働いて、ほんのわずかな給料をかせぎました。

 ある日、私と同僚の女の子の知り合いだという魅力的な女性がお店に来て、フォックス映画のスタジオとの契約のもとに一週300ドルかせいでいると話しているのを、私は小耳にはさみました。それは、当時の私にとってたいへんな収入のように思え、デパートの売子という職業がとたんにみすぼらしく感じられたのです。それからというもの、私もスタジオで働くことを考えつづけましたが、それには18歳になっているか、あるいは身元保証人が必要なので、結局あきらめて母のもとで働くことにしました。けれども、チャンスはこれからという年ですから、母の研究室でも腰が落ち着きませんでした。

第3部 社会人になってへ

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